株式会社BSC

株式会社BSC

Rubyにより、柔軟にカスタマイズできる人事管理システムを低価格でリリース

プロジェクト管理の質の向上へ

株式会社BSC(以下、BSC)は大阪市西区に本社を構えるシステムインテグレーターである。平成元年に創業して以来、システムライフサイクル全てに亘り、培った技術力とコンサルテーション力を強みに、製品・サービスを提供してきている。

BSCでは、自社の人事管理を以前はスプレッドシートを用いて行なっていたのだが、従業員の増加とともに増大する管理コストを低減するために、データベース化することにした。そのデータベース化に当たっては、既存の人事管理パッケージ製品の導入も検討したが、既存製品では多機能過ぎたり、あるいは資格情報や業務経歴情報などシステムインテグレーターにとって欲しいデータを管理できない内容になっていたりしたため、導入に踏み込めないでいた。

そこで、BSCでは、無駄な機能を排除し、自社の業務要件に合う新しい人事管理システムを自社開発することにした。そこで注目した技術がRubyであった。

「人事box」として外販へ

自社の人事管理システムを新規開発するに当たり、できるだけ工数を抑えて開発したいと考えていた。そこで、Rubyの生産性に着目した。既に生産性の高さは社外で謳われていたが、自社で他言語と比較した結果、Rubyの生産性の高さを確信した。BSCとしては、Rubyでの開発は初めての取り組みであったが、技術者の成長を図りながら、人事管理システムを開発した。

この人事管理システムは当初、自社利用のために開発したものであった。しかし、自社が既存製品に抱いていた課題は、他社にも共通するものであり、開発した製品は市場性があるだろうと考えた。そして、BSCはこの開発した人事管理システムを省電力、省スペースの超小型パソコンにプリインストールして、2010年10月に製品名「人事box」として販売することとした。

高い技術力に裏付けされた製品力

開発開始時点の2009年にはRuby技術者は0名であったが、開発を通じてRuby技術者を増やし、2010年4月にはRubyアソシエーション認定システムインテグレータを取得している。その技術者のポテンシャルは、製品力の強化に活かされている。2011年5月にリリースした「人事box」のバージョンアップ版(Ver.2)の開発に当たっては、さらなる保守性の向上を目指し、Webアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」を採用した。「Ruby on Railsで規約に従った開発をすると、保守性が上がる。」とBSC プロジェクトマネジメントセンタ リーダ 大久保勝彦氏は、そのフレームワークの効果を語る。また、Ruby on Railsで開発されているオープンソースプロジェクト管理ツール「Redmine」を活用するなど、製品のみならず開発プロセスにおいてもオープンソースソフトウェアを有効に活用している。開発コストを抑えることで、低価格での製品提供を実現しているのだ。

「人事box」は、初期設定が不要なプリインストール型で、人事管理に必要な基本的な機能を有しているため、購入後すぐに導入できるのが特長だ。しかし、一部の案件では、顧客からカスタマイズ要求があったそうだ。その際も「保守性の高い製品であるため、短納期でカスタマイズ要求に応えることができた。」と大久保氏は語る。低価格で短納期という価値を、Rubyを中心としたオープンソースソフトウェアにより実現している。

「人事box」は、同業種であるシステムインテグレーターを中心に導入が進んでいる。システムインテグレーターである自社向けに開発した製品であるため、同業者の要求を満足しやすいということもあるが、大久保氏は「先進性や話題性の高いRubyで開発していることが同業者からの高い評価に繋がっている。」といった営業面でのRubyの効果も実感している。現在、顧客の全てが関西圏であるが、今後は全国に展開していく考えだ。

Rubyで拡がる業務アプリケーションビジネス

2012年2月には「人事box Ver.3」をリリース。複合検索機能や社員台帳機能などの顧客要望の多い機能を追加している。利用されるか分からない過剰な機能をあらかじめ盛り込むのではなく、シンプルな設計で開発できるRubyを活用することによって、利用者の声をもとにした機能単位でのバージョンアップを実現している。今後は、Rubyを活用して様々な業務システムを「boxシリーズ」として提供していく予定だ。中小企業を中心とした低コストでの業務アプリケーション導入にRubyが大きな役割を果たしてきている。

画面イメージ

※本事例に記載の内容は2012年2月取材日時点のものであり、 現在変更されている可能性があります。