株式会社モンスター・ラボ

「暮らしの新しい市場をつくる」ユーザーのライフスタイルに根ざした新規サービスをRubyで開発

株式会社モンスター・ラボは、株式会社SuMiKaが運営するサービスであるSuMiKaにシステム開発パートナーとして参加しサービスリニューアルに大きく貢献した。

SuMiKaとは

衣食住という言葉があるように住環境というのは生活の大切な基礎でもあり、自分自信の理想が反映される空間でもある。そのような住環境の市場において、SuMiKaは家づくりをしたいユーザーと住宅の専門家を結びつけるサービスを提供している。

住環境を整えると一口に言っても様々な分野がある。例えば、家を選ぶという行為に着目した場合は新築、中古、賃貸などを選ぶことになるだろうし、家を選んだ後は、家具やインテリアなどの生活用具を揃える必要がある。一度選べば終わりではなく、ライフステージに応じた変化もある。結婚したり子供が生まれたりした場合には住環境を再度考える必要も出てくるだろう。

SuMiKaを利用して家づくりを行う人々は、住環境を自身のライフスタイルの重要な一部だと考えて住まいにこだわりがある層だ。既製品だけで終わらない家づくりをしたいと思ったユーザーはSuMiKaに作りたい物の概要や予算をプロジェクトとして投稿することができる。専門家がそれに応じることによって依頼が成立する仕組みだ。またSNSの機能もあり、家づくりに関する質問を専門家に相談することができたり、過去のプロジェクト一覧を閲覧することができる。

SuMiKaのウェブサイトで様々な家づくりの形を見ていると、自宅のインテリアデザインを考えている時と同じようなワクワクした気持ちになる。

前サービスをリニューアルしてリリースしたSuMiKa

実は、SuMiKaは古くから存在していたWebサービスを引き継ぎ、2014年2月に名称をリニューアルして運営を開始している。

前サービスではどちらかといえば、家を建てることを中心に据えたサービスであったが、SuMiKaは「好きに暮らそう」を新たなテーマに設定した。そのテーマに則り、家を建てるだけではなく、小さなリノベーションや家具作りなどすべての住環境を網羅したサービスとして生まれ変わった。

前サービスが生まれた時に比べて、暮らしに対する選択肢が多様化してきており、SuMiKaではリノベーションや家具づくりなど、選択肢の多様性をサービスに反映させた。SuMiKaとしてサービスリニューアルした現在も利用者や関係者からのフィードバックを得ながら日々サービスを発展させている。

開発パートナーにモンスター・ラボを選んだ理由

モンスター・ラボについて「サービスをコツコツと継続的に育てていく為の開発が得意」と株式会社SuMiKaの近藤氏は評価している。

SuMiKaを取り巻くビジネス環境について「住まいに対するニーズの変化は当然だが、それ以外にもSuMiKaと同じようなサービスを提供する海外サイトの動向やキュレーションメディアの台頭により、競合他社のことをしっかりと意識しながらのサービス開発が必要である」(近藤氏)と語る。

そのような環境変化に対応するため、SuMiKaとしてサービスをリニューアルするにあたりアジャイル開発を取り入れことにした。そこで、モンスター・ラボを開発パートナーとして迎え入れスクラムチームを編成した。既に誰もが知る開発手法となったアジャイル開発ではあるが、念のため簡単に説明をすると、一度にまとめてではなく、利害関係者からのフィードバックを得ながら少しずつシステムを作っていくことが大きな特徴だ。それにより顧客の声や市場の変化をシステムに反映しながら開発を進めやすい利点がある。近藤氏がプロダクトに対する最終的な責任を持ちプロジェクトのゴールを設定するプロダクトオーナーの役割を務めた。

サービスを継続的に育てていく開発が得意との評価があるのはモンスター・ラボの社風が大きく関係していると言えるかもしれない。「モンスター・ラボ代表鮄川の経歴もそうですが、弊社にはテクノロジーにもマーケティングにもバランス良く長けた人が多く在籍しています」(椎葉氏 モンスター・ラボ PRマネージャー)

「サービスをSuMiKaとして新しくリリースする直前には、プロダクトオーナーとしてスコープ(機能)調整の判断を下すことは難しかった」(近藤氏)そのような難しい立場の中でも、継続的なビジネス価値を提供したいというマインドセットを持った開発メンバーがいるとプロダクトオーナーとしては非常に心強く、スクラムチーム内のコミュニケーションにも大きく貢献したと思われる。

多様な人材を引きつける魅力

前述のテクノロジーとマーケティングのように、技術力は勿論のこと多様なバッググランドを持つ人材を擁するモンスター・ラボではあるが、同社のどこに魅力を感じて人が集まってくるのだろうか。SuMiKaの開発を担当したモンスター・ラボのテクノロジスト山口氏は「会社全体で個人の主体性を大切にしている。社内メンバーも同じような性格の人が少なく、いわゆるキャラ被りがない」と説明する。

株式会社SuMiKaは東京を拠点としている企業ではあるが、山口氏は現在、島根県松江市にて勤務している。2013年に毎年1回松江市で開催されているRubyWorld Conferenceに参加したことをきっかけに街全体でRubyに取り組む姿勢に感銘を受け、モンスター・ラボの開発拠点を松江に作りたいと会社に直訴した。それが、翌2014年の松江の開発拠点開設につながった。

「今まで培ってきた、モンスター・ラボとの信頼関係があったので、山口氏の松江移住に対して特に不安はなかった。またビデオチャット、進捗管理ツールなど便利なソフトウェアがたくさんあるので、特にスクラムチームを運営していく中でコミュニケーション上の問題はなかった」(近藤氏)

「東京に比べると環境がゆったりとしている。生活が落ち着き、心にゆとりのようなものが生まれた。開発に集中でき開発効率がよくなったと思う」(山口氏)

松江の開発拠点開設はモンスター・ラボが社員個人の主体性を重要視している顕著な例だろう。

SuMiKaのこれから

モンスター・ラボ とのアジャイル開発でリニューアルに成功したSuMiKaでは次の段階を見据えている。その新しい取り組みの中でも、SuMiKa小屋市場や小屋フェスなど小屋に関する一連の取り組みは同社の考え「好きに暮らそう」がサービスに忠実に表れているようで面白い。

小屋の使い方は自由自在で趣味部屋やタイニーハウスとして使える。このタイニーハウスというのはリーマンショック以降にヨーロッパ、北米を中心にムーブメントとなり、広がりを見せている。その根底には、大量生産、消費を否定し、華美なものではなく身の丈にあった暮らしをしていくという思想がある。サービスリニューアル時に得たアジャイル開発の知見を活用して「好きに暮らそう」をテーマとした家づくりの新たな視点を与えてくれるSuMiKaのサービスに今後とも注目していきたい。

※本事例に記載の内容は取材日時点(2015年10月)のものであり、現在変更されている可能性があります。