Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize

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RubyPrize2014 受賞者インタビュー、2014 Prize Winner Interview
  • 柴田 博志/Hiroshi Shibata
  • Pat Shaughnessy
  • 松本 亮介/Ryosuke Matsumoto

「家族の理解」「頭のリフレッシュ」

まつもと なるほど。そうすると、記念講演でもお話があったんですが、そういった仕事とほぼ同じのRubyに対するコミュニティー活動と、そうじゃないプライベートライフがありますよね。
この辺の切り分けはどうですか?

柴田氏 そこは…非常に難しくて(笑)、やはり楽しくてはまってしまうような時間があって、例えばリリース前とかですね。
ちょうど昨日もリリースしましたけど、リリース前とかはやはりどうしても、家に帰ってから色々リリースメンテナのプラットフォームではチェックできないような項目、具体的にはLinux環境でのビルドテストやウェブサイトの表示崩れのチェックなどもする必要があるので、その辺はどうしても夜中に作業しています。
そういった場合は妻に直接「Rubyという言語があって、Rubyという言語の新しいバージョンが今夜リリースするから、今日はその仕事をしなくちゃダメなんだよ。」みたいな説明をします(笑)。机に向かってガチャガチャしているじゃなくて、オープンソースの活動というのがあって、今はオープンソースの活動の時間をちょっと夜に費やさなきゃいけないんだということを、妻には説明しています。

まつもと 今日はそうしなくちゃ。

柴田氏 そうです。これは仕事みたいなものなんだという話をして、「よく分からないけどそうなんだ」というような形で納得して貰っています。
それから土日は、特に今年に入ってからは、あまりコンピューターには触らないようにしています。
もう趣味なので(笑)、数時間はどうしてもバグレポートとかビルドチェックみたいなものはしたりするんですけど、できるだけ土日は歴史の本とか、あと文化芸術系の本を読んでいます。
最近結構はまっているのは興味がない分野の学問を勉強するように、勉強というか読み物を読むようにしていて、例えば「Pen」とかを定期購読しています。「Pen」は特集が本当に多様で、ウイスキー特集とかパリ特集とか、あと何か男物のブランド特集とか色々やっていて、とても勉強になります。

まつもと なるほど。

柴田氏 本屋で自分からは絶対プルしないような情報をとりあえず定期購読という形で、プッシュで送ってもらって、とりあえずそれを全部読んで、あぁなるほどウイスキーは奥が深いな(笑)みたいな、そういう形ですね。
コンピューターは好きなので、本当にもうとにかくプルし続けてはいるんですけど、やはりそれだとなかなかコンピューター以外の知識の幅が広がらないというか、歴史の幅も広がらないし、カンファレンスとかで海外から来た人と話す際にヨーロッパの歴史やアメリカの歴史とかを知らないで喋るとあまりいい話ができないので、海外旅行に行く前とかも、その地域のことについてかなり勉強してから行くようにしました。
それと、今年はちょっと行けないんですけど、昨年のRubyConfに行くときも勉強していきました。

まつもと まぁね。本当、来週だからね(笑)。

柴田氏 はい。で、昨年だとマイアミですか、まぁフロリダ、マイアミの歴史とか、キーウェストの歴史とかをすごく勉強してから行って、楽しめることができました。
このように最近の週末はできるだけコンピューター以外のことを勉強するようにして、頭のリフレッシュをしています。

まつもと そうですか。じゃあこうやって我慢して頑張ったから、褒めてもらいたい(笑)。

柴田氏 そうですね(笑)。ありがたいです。

まつもと で、君のおかげでもあるからって、賞金はぜひ奥様のためにお使いください(笑)。

柴田氏 あぁ、そうですね(笑)。