リバティ・フィッシュ株式会社

リバティ・フィッシュ株式会社

タブレット端末を活用した介護施設向けシステムをRubyにより商品化

関西でのRuby普及に努めるリバティ・フィッシュ

リバティ・フィッシュ株式会社(以下、リバティ・フィッシュ)は大阪市中央区に本社を構えるシステムインテグレーターである。「未知の発展性と可能性を秘めた大海を、独自のカラーで、自由に、力強く泳いでいきたい。そんな願いを込めて…。」この社名の由来にあるように、リバティ・フィッシュは特徴のあるソリューションを持って、事業を発展させてきている。特に近年は、オープンソースソフトウェア技術を活用したソフトウェア開発に注力している。中でも、Rubyの可能性を早くから認め、人材育成を進めてきており、2010年7月にはRuby Association Certified System Integrator Silverに認定されている。また、2011年12月に関西で設立された「Rubyビジネス推進協議会」の設立にも携わるなど、関西地方におけるRubyの普及啓発にも熱心である。

Rubyを活用した介護事業者向けシステムの開発

リバティ・フィッシュでは、技術分野としてオープンソースソフトウェアに注力する一方、産業分野として医療・介護、観光、環境といった成長産業分野に経営資源をシフトしてきている。これらの注力分野で新たに商品開発したのが、介護施設向けシステム「介護革命」である。「介護革命」は従来、介護士が紙に記していた介護記録を、3.5インチ小型タブレット端末を利用したシステムに入力することで、情報の一元管理と共有を実現したシステムである。タブレット端末を活用してどこからでも介護記録ができるようになることで、介護士がかさばる記録用紙を持ち運ぶ必要がなくなり、業務の効率化や介護記録の紛失防止も実現できる。さらには、介護記録がデータベース化されることで、資料をファイルに閉じて保管する手間や保管場所も減らすことができ、介護事業者のコスト削減にも貢献することができる。この「介護革命」を商品開発するにあたり、リバティ・フィッシュが選んだ技術がRubyであった。

現場の声を反映した商品開発

「介護革命」は、介護事業者の声を聞きながら開発を進めていった。従来の業務での悩みや課題を聞き入れながら開発することで、現場のニーズに即した商品にしようと考えたのである。しかし、リバティ・フィッシュ 代表取締役 石丸博士氏は「必ずニーズは変化する。」と言い切る。「実際に開発されたソフトウェアを利用してみて初めてニーズに合っているか分かる。また、後になってから新たなニーズが湧いてくる。したがって、始めから要件を固めて開発するのはリスクが高い。」と石丸氏は語る。そこで、リバティ・フィッシュでは、プロトタイプを作り、そこで現場の反応を得て改善を繰り返すという開発手法を取った。この開発手法を進める上で有効だったのがフレームワーク「Ruby on Rails」だった。「Ruby on Railsを活用することでプロトタイプをつくるプログラミング工数は、他の言語でつくるのに比べて50%は削減できただろう。」とRuby on Railsを活用した開発を高く評価する。このRuby on Railsの強みを活かした開発手法により、現場の声を反映した商品へと育てていった。また、フレームワークであるRuby on Railsを活用することで「他のオープンソースのプログラミング言語で開発するのと比べて、開発生産性を高めることができ、(プログラミング以外も含めた)商品開発全体で見た場合、10~15%のコスト抑制に繋がっている。これは商品の価格競争力を高める上で大きい。」と石丸氏は、Ruby on Railsで享受できたメリットを力強く語る。

Rubyを活用した「タブレット革命」

Rubyで実現したこの「介護革命」であるが、リバティ・フィッシュでは「介護革命」の他にもタブレット端末を活用したソリューションを「タブレット革命」シリーズとして開発してきている。現在、「介護革命」と並び注目を浴びてきている商品が「問診革命」である。「問診革命」は医療機関向けシステムであり、従来は紙に記入していた問診票に対して、タブレット端末を活用した入力システムへと置き換えるものである。日本国内の医療機関において、外国人の受診が増加してきたのに伴い、医師や看護師も外国人来院者とのコミュニケーションに困っているケースが増えている。「問診革命」では、多言語に対応した問診票アプリケーションを提供しており、外国語で表示された問診票で入力や項目選択することで、医師や看護師側では保険加入状況や症状を日本語項目に変換されて確認することができる。

このように、リバティ・フィッシュは医療・介護といった高齢化社会と人材不足で悩みを抱える分野に対して、タブレット端末を活用した業務効率化ソリューションで課題解決に挑んでいる。様々な産業にタブレット端末で革命を起こし始めているリバティ・フィッシュ。Rubyが、そのリバティ・フィッシュの起こす革命になくてはならない存在となっている。

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