巻き込む「仕組み」をつくる

まつもとオフィシャルサイトに関する取組は、とりあえず一段落した感じがあると思いますが、柴田さんとしては、今後どのようなことしたいと思っていますか。

柴田氏オフィシャルサイトについては手を離していこうかなと思っています。リブートさせるのは好きなんですけど、その後は余り、「あとはよろしく!」っていうような(笑)。

まつもとまあね(笑)。「メンテナンスはまた別だ」っていうのはありますよね。

柴田氏はい。オフィシャルサイトのメンテナンスについては、誰でも参加できるような仕組みをつくって、いろいろな人がどんどん関われるようにしていきたいですね。
実際、すでに自分の手を離れ始めていることもあります。オフィシャルサイトには日本語と英語以外にも各国語のものがあるんですが、最近だとロシアとかベトナムとか、あとフランスとか、要するに・・・。

まつもとフランスは聞いていたけど、ベトナムは知らなかった!

柴田氏ベトナムについては、実はこんなストーリーがあるんです。今年シンガポールで開催された「Red Dot Ruby Conf」に参加してオフィシャルサイトの話をしたら、シンガポールはやっぱり多民族国家なので、ベトナムとか、インドネシアとかフィリピンの方が、「そんなことができるとは知らなかった!ぜひメンテナンスしたいからやらせてくれ!」という申し出があって、インドネシアとベトナムの2つが今、現地の言葉に翻訳されて表示されています。

まつもとじゃあ、インドネシア語バージョンとかベトナム語バージョンはもう既にあるんだね。

柴田氏はい、そうです。あとはロシアとか、あとフランス、スペインあたりもあります。

まつもと昔からオフィシャルサイトの多言語対応はいろいろとやってきてて、割と早くから中国語、台湾の中国語と大陸の中国語の両方に対応していたし、英語、ドイツ語、フランス語もあったね。

柴田氏そうです、いっぱいあるんですよね。コンピューターサイエンスを一生懸命勉強している人は英語も勉強している人が多いですけど、これから入門っていう方は、やっぱり母国語で読みたいというニーズはあるみたいなので、英語と現地の母国語が両方できる人が一生懸命翻訳して場を広げようと。そういう活動がまさに今、始まっている感じですね。

まつもとそういった組織化みたいなのができるようになってきているし、昔に比べて記事のアップデート自体も簡単になったよね。

柴田氏そうですね、はい。例えば、よりコアな技術的なコミットはできないとしても、オフィシャルサイトのメンテナンスについては、現地コミュニティで単純に翻訳だけでもしてもらえるとありがたいですね。今、Zacとドキュメンテーションについては、「I18N、RDocのほうもやっていこう」という話をしています。そういう感じにいろいろな方を巻き込んでいくと、何かしらモチベーションでコミュニティに貢献できるという場をつくれるのかなっていうところですね。

まつもと柴田さんがそういった活動の礎をつくってくださったんですね。ありがとうございます。