リファレンスマニュアルの多言語化

柴田氏次は「RDoc」なんですよ。Zacと取り組んでいるんですが。

まつもと「RDoc」というのは、Rubyのライブラリのドキュメンテーションでね。Rubyのソースコードをそのまま埋め込んでいるものと、それを操作するプログラムです。今回のRuby Prizeにもう1名最終ノミネートされたZacが面倒みてくれているんだけど、一緒にそれも多言語化みたいなこともできるよね。

柴田氏多言語化されたものをウェブで見たい、というニーズがあります。日本には、ウェブで見られるものとして「るりまプロジェクト」がありますよね。

まつもとそうですね、「Rubyリファレンスマニュアルプロジェクト」という日本語のプロジェクトがあって、メンテナンスされてるね。

柴田氏はい。Zacが頑張ってくれて英語版はありますが、それでもまだ海外の方からカンファレンスの場で、「エラーメッセージを検索すると、日本語で書かれた青い、よくわからないページが出る」という声を聞いたりしまして(笑)。
Zacがその辺いろいろ対応してくれて、英語でもきちんとしたリファレンスマニュアルのHTMLを生成できるようにしてくれたので、そういった成果を全部統合しつつ、オフィシャルサイトと同じように、いろいろな国の人にRubyのメソッドの使い方とかも翻訳してもらって、webのほうにコミットなり本体のソースコードにコミットしてもらって、誰でも閲覧可能になるような仕組みを用意していきたいな、というところですね。

まつもとじゃあ、ますます情報が充実する枠組みづくりに取り組んでいかれる予定なんですね。

柴田氏そうですね。あとは、Redmineですかね。「Bugs」!

まつもとあれも難物ですよね(笑)。それに取りかかると、長らく懸案だったGithubへの移行にも道筋が立ちますね。我々コアチームにとっては、Redmineと今のSubversionとの連携っていうのが一番のネックなんですよね。

柴田氏そうですよね。プロジェクトを継続させるポイントは、やっぱり、いろいろな人を巻き込むという部分だと思うので、モチベーションがある人を巻き込んで、あとはよろしく!という仕組みを構築していきたいなという思いがあります。Githubへの移行は、ちょっと、本当にいろいろと課題もあるのでなかなか(笑)。

まつもと本当にいろいろありますよね。昔に比べたら、障害になるものは少なくなってきましたけどもね。

柴田氏そうですね。Bugs(Rubyバグレポートガイドライン)へのモチベーションについては、どちらかというとセキュリティの問題のほうですね。

まつもとまあ確かに。

柴田氏よくあるのが、BugsはRuby1.8で動いているので、「なぜRubyコミッタはRuby2.0を使わないのか!」というお叱りの言葉を(笑)。

まつもと全くもってそのとおりなんです(笑)。僕の個人サイトも1.8のままなんです。何もメンテしてないから(笑)。

柴田氏2.1とかを使って動かすようにすると、バグを踏んで自分で直すっていうことも(笑)。
ということで、オフィシャルサイトのリニューアルが一段落したら、次はRDocとBugs、それからIssue Trackのほうに取りかかっていきたいと思っています。

まつもとありがとうございます。ぜひ、楽しんで取り組んで下さい!