Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize 2015
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Rubyprize2015受賞者インタビュー、2015 Prize Winner Interview
  • 西田 直樹/Naoki Nishida
  • Benoit Daloze
  • 高尾 宏治/Koji Takao

中学校でのスモウルビーを使った取り組み

まつもと 来年から松江市は、中学生の技術・家庭科の時間でスモウルビーを使ってプログラミングを教えるというお話でしたけれども、これはある意味すごい英断ですよね。

高尾氏 はい、そうですね。今現在、中学生にプログラミングを教えるときの主流はフローチャートでして、上から順番に初期化の処理があって、ループがあって、その中でもし何々したら、というところの表現まではあるんですが、プログラミング言語というものでプログラムができているというところまでは学べませんでした。
Rubyでやるということも非常に新しい取り組みですし、スモウルビー自体がまだまだユーザーも少ない中で、松江市がやろうと決めていただいたというのは非常にうれしいですね。

まつもと それは各学年がやるんですか?

高尾氏 基本的には、3年間のうちで大体8時間程度、プログラミング(プログラムによる計測・制御)を学ぶということになっているので、学年については学校に任せるという形になっています。

まつもと どこかで8時間。

高尾氏 そうですね。3年間のうちのどこかで8時間ですね。
多くのケースですと3年生で教えるということが多いと聞いています。
ですが、松江市では、この取り組みの実施に当たって、1年生でもできるんじゃないか、3年生でする理由はないんじゃないのかと…。
特にRubyを学んで、進路もそういうIT系に行きたいと考える子もいるのではないかということで、(進路の選択に余裕のある)1年生の段階で学んでもらうという取り組み、チャレンジも行いました。
それも非常にいい成果が出まして、1人の先生できちんとプログラミングを教えられて、プログラミングの本質「おもしろかった」や「答えは一つじゃない」なども学べたようです。
また、評価にしても、技術・家庭科だと、宿題での点数による評価などもなくて、ざっくり「楽しそうにやっている」「真剣に取り組んでいる」「発想がおもしろかった」など、そういった、総体的というか、その人その人ごとの評価をされる教科でしたので、非常に楽しくやれてたみたいですね。
そういった点が評価されて、スモウルビーでも授業ができるという判断になったと認識しています。

まつもと 来年度以降本格的に始める前に、今年までにパイロット的な形で何校か実施されたんですよね。

高尾氏 そうですね。基本的には1校で取り組んでもらったんですが、そちらの生徒の数が非常に大きな学校でしたので。

まつもと 第一中学校でしたっけ?

高尾氏 はい。松江市全域だと約5,000人強の子供たちがいるんですが、その学校だけで1,000人ぐらいの子供たちがいるので、大体2割ぐらいの生徒に対してスモウルビーを試してみて、その結果を確認したという形ですね。
それがおおむね良好な結果だったということで、その他の学校でも取り組むという形になったと認識しています。