2022年度Rubyアソシエーション開発助成 公募結果

Rubyアソシエーション開発助成について2022年度は以下のプロジェクトが採択されましたのでご報告致します。
本プロジェクトによる開発の成果報告は2023年4月頃に予定しています。

RubyDataエコシステムへのQuartoの導入とその利用の推進のためのコミュニティ活動

プロジェクト概要

このプロジェクトでは、Quarto を RubyData エコシステムに追加し、その使用を促進するためのコミュニティ活動に取り組む。
Quarto は、Pandoc 上に構築されたオープンソースの科学出版システムである。 Quarto は、Jupyterカーネルなどを使用して、プログラム実行結果を含むコンテンツをさまざまな形式で生成することができる。
このプロジェクトの実現を通して、Quarto の利点を (Python/R だけでなく) Ruby コミュニティにも共有する。

応募者名

西田 孝三

RedAmber - A simple dataframe library for Ruby

プロジェクト概要

RedAmberは、Rubyで書かれたデータフレームライブラリである。データフレームとは、列方向に同じ型のデータを保持する各種データ処理に適した二次元のデータ型である。RedAmberはバックエンドにRed ArrowのTableを利用しており、高速性、汎用性、機能性、将来性が期待できる。列方向のデータはVectorと呼び、各種ベクトル演算のメソッドを使って列方向や列同士の演算を直感的に記述できる。これは同じくRubyで書かれたデータフレームライブラリであるRover(rover-df)を参考にしている。また、ブロックやメソッドチェイン、汎用のRubyコレクションクラスを利用して、Rubyらしくシンプルな書き方のAPIを目指している。
今年度の活動として、更なる機能の実装、Red Arrowへのフィードバックを通じた貢献、パフォーマンスとコード品質の向上、ドキュメントの整備、普及活動に取り組んでいく。

応募者名

鈴木 弘一

RubyによるQUICプロトコルの他言語からの移植ならびに独自実装の作成

プロジェクト概要

2021年に標準化されたインターネットプロトコルであるQUICの利用は急速に広まっており、様々なプログラミング言語による実装が盛んである。中には複数の実装があるプログラミング言語も存在する。しかし現時点で公になっている、Rubyによる実装は存在していない。
このプロジェクトでは、最終的にRubyによるQUICプロトコルの実装を作成することを目指す。まずはその前段階として、Rubyに似たPythonによるQUIC実装である、aioquicをRubyに移植することで、QUIC実装の指針、知見を構築する。

応募者名

unasuke (Yusuke Nakamura)

Rubyリファレンスマニュアル改善計画2022

プロジェクト概要

Ruby リファレンスマニュアルを生成するために現在は BitClustを利用している。BitClust は RD に独自のプリプロセッサなどの機能を足し、インライン記法などを変更した RD ベースの記法を使っている。
現在 RD ベースの記法はポピュラーではなく、Ruby リファレンスマニュアルのコントリビュートをしようとしても、RD ベースの記法を習得することが困難な状況にある。
そこで、本プロジェクトではドキュメントのソースを RD ベースの記法から、現在プログラマーの間で最もポピュラーだと思われる Markdown ベースの記法への移行を目指す。

応募者名

株式会社Ruby開発