2025年度Rubyアソシエーション開発助成 公募結果
Rubyアソシエーション開発助成について2025年度は以下のプロジェクトが採択されましたのでご報告致します。
本プロジェクトによる開発の成果報告は2026年4月頃に予定しています。
pure Ruby Apache Arrow実装の開発
プロジェクト概要
Apache Arrowは大きなインメモリーのテーブルデータを「低コストで交換」および「高速に処理」するための標準化されたデータフォーマットである。現代の多くのデータ処理ツールはApache Arrowを基盤の1つとして採用し、各ツール感の相互運用性が高まっている。RubyでもApache Arrowを使うライブラリーは整備されており、Red ArrowやRuby Polarsなどを使うことでApache Arrowを使うことができる。しかし、これらはC++実装やRust実装のバインディングとして実装されており、高速・高機能であるが、インストールの敷居が高い。
本プロジェクトでは、低コストでのデータ交換のみにフォーカスしたpure RubyのApache Arrowシリアライザー・デシリアライザーを実装する。pure Rubyで実装することにより、より手軽にRubyでApache Arrowを扱えるようにし、データ処理関連のRubyライブラリーが増える下地を整えることを狙う。
応募者名
株式会社クリアコード
UringMachine - bringing low-level I/O with io_uring to Ruby
プロジェクト概要
Io_uring is a relatively new Linux API, permitting the invocation of Linux system calls asynchronously. UringMachine is a gem that brings low-level access to the io_uring interface to Ruby programs, and permits not only asynchronous I/O on files and sockets, but also timeouts, futex wait/wake, statx etc, with support for fiber-based concurrency. This project will work to enhance UringMachine to include a FiberScheduler implementation for usage with the standard Ruby I/O classes, to have builtin support for SSL, to support more io_uring ops such as writev, splice, fsync, mkdir, fadvise, etc.
応募者名
Sharon Rosner
軽量型情報 LSP の開発
プロジェクト概要
Rubyの柔軟性を損なわずに有用な型情報を提供するLSPサーバを開発します。明示的な型宣言を必要とせず、正確な型推論の代わりに、ヒューリスティックな型推測（呼び出しメソッドからの推定、変数名パターンなど）を活用することで、大規模アプリケーションでも快適に動作し、日常的な開発で実用的な型情報が得られる開発体験を目指します。
応募者名
SIM SANGYONG
シェイプ事前構築とメソッド特殊化によるCRubyの最適化
プロジェクト概要
応募者らは論文 Integrating Static Optimization and Dynamic Nature in JavaScript において、シェイプ (隠しクラス) と最適化に関わる手法を提案した。当該手法はJavaScriptに限らず、他の動的なオブジェクト指向言語処理系への応用が見込まれる。
本プロジェクトはこのCRubyに対する実現可能性を探り、性能の向上を目指しつつ、その影響を評価する。また必要に応じて、関連する実装の調査・改善も行う。
応募者名
Tadashi Saito (齋藤 匡)
TutorialKit.rb
プロジェクト概要
TutorialKit.rb is a framework for building interactive, browser-based tutorials for the Ruby ecosystem. It lets developers create hands-on environments where users can experiment with Ruby gems and frameworks like Rails directly in the browser - no local setup required. The environment runs via WebAssembly and provides a full Ruby development setup with an editor, terminal, and configurable gem dependencies, making Ruby education, documentation, and onboarding more accessible and reproducible.
応募者名
Evil Martians