株式会社コラビット

課題解決をしたいエンジニアが最大限パフォーマンスを出せる職場でありたい

今回、株式会社コラビットの代表取締役CEO 浅海 剛氏と執行役員CPO(Chief Product Officer)の曽根 孝基氏にお話を伺った。
昨今の社会情勢を鑑み、GoogleMeetを使って3拠点間のリモート対談となったが、始終笑いが絶えず、大変和やかな雰囲気でインタビューすることができ、直接お話を伺った場合と変わらないクオリティの話を伺うことができたように思う。

全国どこにある不動産でも価格推定の推移を見れるHowMa

株式会社コラビットは、AIを使った不動産査定サイト、HowMa(ハウマ)を運営している不動産テック企業である。
「HowMa」は、全国の不動産、マンションや戸建の査定をAIを使ってオンライン上で実施するサービスである。
従来不動産会社に依頼する必要があった家の査定を、誰にも知られずオンラインで完結できることに特徴がある。

Ruby Bizグランプリ 2018 でPricing Innovation賞

「HowMa」はRuby Bizグランプリ 2018 でPricing Innovation賞を受賞している。
受賞時には別のサービスであった、不動産オンライン売却サービス(現時点では東京23区限定)も統合し、さらに充実させている。
また、この受賞をきっかけとしてRubyアソシエーションの存在を知り、会の趣旨に賛同し、Rubyのエコシステムに貢献したくて入会したそうである。

痒い所に手が届くRuby

現在、機械学習を使った価格推定はPythonを使っているが、サービスの8〜9割はRuby on Railsを使って実装されている。
当初、CTOが推定エンジンを作成し、その他のコードは社長の浅海氏が書いていた。
Ruby on Railsを使うかNode.jsにするか悩んだが、結局Ruby on Railsに落ち着いた。
「Rubyがよくできていたので。Rubyでコードを書くと気持ちよく逃げれらなかったんです」(浅海氏)
Node.jsにしようかと思ったが、実際にコードを書いてみると、Rubyでは便利に使っていたライブラリがなかったりする。
「え、これ自分で実装するの?」ということが多々あり、結局Ruby on Railsになったそうである。

「Ruby on Railsはライブラリが充実していて、独自実装する場面がとても少ないです。
これは熟練していないエンジニアの助けになることはもちろん、ベテランにとっても開発スピードが向上するというメリットがあります。
さらに、コード量が減るということは、バグが出にくいことにもつながります。」(曽根氏)
Rubyで開発することをのメリットを「スピード感、安定感、信頼性がばらつかない」とまとめてくれた。

フルリニューアルして売り上げ大幅増

「HowMa」は現在、バージョン3である。
これまでに大規模改修、フルリニューアルをそれぞれ1回ずつ実施した。
フルリニューアルは約9ヶ月かけて行い、昨年4月にリリースした。結果、売り上げが3.6倍になった。
フルリニューアルしてなぜそれほど売り上げが上がったのか?という疑問については、次のように解説してくれた。
「これまで、売却でマネタイズするサービスなのに、売る目的で査定をしたユーザーをうまく取り込めていませんでした。
以前は、この2つは独立したサービスで、ユーザー管理も別々に行っていたため、「HowMa」で査定をした物件を売ろうとした時、「HowMaオンライン売却」に新たに登録する必要がありました。
そこで、今回のリニューアルでは、「HowMa」と「HowMaオンライン売却」という2つのサービスの統合し、査定から売却までをひとつのサービス上で完結できるようになり、結果、より多くの売上を得られるようになりました。
売上も会員登録も伸び、さらにSEOだけで伸ばすことができるようになったため、広告を減らすこともできました。」

さらに、このリニューアルの際に、Ruby on Railsのバージョンアップも行い、Ruby on Rails 5 から導入されたAction Cableなどの新しい機能も採用した。

Twitter経由の採用

たまたまではあるが、最近入社した人たちは皆「Twitter転職」である。
浅海氏自身、転職エージェントとは、会社についてより良く転職者に伝え、転職者の能力を高く伝えるという仕組みとの思いから、転職エージェントの仕組みがしっくりきていないのだそうだ。
だから、転職エージェントを使うのではなく、「直接ハントしたい」という思いがあった。

なぜTwitterで探そうと思ったのか?の問いに対しては、
「Twitter転職のことを知り、見てみたところ、就活している人がたくさんいることを知りました。しかも、こちらから普通に話しかけられます。
日々のツイートにその人の人柄が表れていて、そこからこの人は合いそうだなというのがわかります。」(曽根氏)
「でも、就活者の立場として、Twitter転職しようと思ったら、日々のツイートをしづらくなりそうです」との問いかけに対しては、
「正直にしょうもないことをつぶやいている人の方が面白かったりします。転職したいです、以外に何もないと、逆に声をかけづらいですね」(曽根氏)
自分たちから声をかけるだけでなく、求職者の方から声をかけてきてくれて、採用につながった例もあるそうだ。
お互いのツイートを見て、この人(この会社)は合いそうという判断がしやすいところにTwitter転職の良さがある。
もちろん、Twitterからだけでなく、採用ページからの応募も歓迎とのこと。
どちらにしても、まずは会って話してみることを大切にしている。
現在のスキルだけでなく、将来化けそう、輝きそう、この人を採らなかったら将来後悔しそう、と感じたら採用することもあるそうだ。

課題解決をしたい人を求めている

「昨年、事業成長が3.6倍になり、今年も同様に3.6倍の成長を予定しています。そういう成長を一緒にしたい人に来てほしい」と言う浅海氏。

会社の雰囲気や、社員に期待することなどを伺ってみた。
「対象は不動産に関心のある人たちなのですか?」という問いに対して、浅海氏は、「不動産の知識や興味はまったくなくていいです。そもそも、私自身が、怖いので不動産業界には近寄らないようにしよう。と思っていたぐらいですから」と笑いながら答えてくれた。
ユーザーも不動産の売買は必ずしも好きだからやっているわけではなく、必要に迫られて売買する人も多い。
だから、不動産のことが好きではなかったとしても、好きではないなりに自分の考えを活かせることができるので、好きかどうかはこだわらない。とのことだ。

「それよりも、社会を良くしたい、課題解決をしたいという感情を持てることが大切です。
解決したい課題は決まってなくても良いです。何かを解決したいという気持ち。
解決したい課題が見つかっている人は起業したらいいと思うんですよ(笑)
自分の技術を使って社会を良くしたいという思いがある人に来てほしい」(浅海氏)

インタビューの中で何度か「好きな技術を使うことができる」という発言があったが、「技術的にやりたいことを好きにやれる」というと少し語弊がある。
「自分のやりたいことと、やるべきことの輪を重ねられることが大切です」(浅海氏)
この課題を解決するには、このような理由でこの技術を使うべき。ということを明確にして、技術選定をしてほしい。
だから、この技術を使ってみたいから、という理由での採用とは違う。

3つのバリュー(https://collab-it.net/recruit/culture/)

コラビットには、3つのバリュー Beyond the LIMIT (限界のその先へ)、Focus on VALUE (価値にこだわれ)、Collaborate! (共創しよう) があり、これを大切にしている。
毎週振り返りをやって、全員が各自、今週のバリューと来週の目標を発表している。さらに、毎月バリュー賞を発表している。
これは、その月で一番バリューを発揮していた人、自分の限界を超えて挑戦をしていた人に贈られる。
受賞者の選定は、前月にバリュー賞を受賞した人が行う。これは、みんなにも周りの人のことを見ていてほしい、「バリューを発揮するってこういうことだよね」という文化を皆で作っていきたいとの思いからだそうだ。

インタビューの中で何度も「課題解決」というキーワードが出てきた。
この「課題解決」は、一度きりでなく、課題、社会問題を解決し続けるという、解決の再現性が重要なのだそうだ。
何回も課題解決をし続けるには、文化を作ることが重要と考えている。
そのためには、普段の行動が解決し続ける文化につながると考え、このような試みがなされている。

さらに、メンバーが増えた時、会社の転換期などに合宿も実施している。
社長も含めたメンバーがお互い色々なことを言い合える雰囲気を大切にしている。
浅海氏曰く、「ここでは、社長に対してもダメ出しをしてくれる。これはとてもありがたい。社長になると周りから指摘してもらいにくくなる。何も言われなくなったら終わりだと思っているから、みんなからフィードバックしてもらえるように気をつけている」

皆がそれぞれ最高のパフォーマンスを発揮できる組織づくりとリモートワーク

何かと話題になるリモートワークについて伺ってみた。
「リモートワークはうまくいっていると思います。でも、それはもともとリモートワークに向いている組織だからで、リモートワークがうまくいかず悩んでいる組織の参考にはならないと思います」と前置きをしつつ、話してくれた。

社員は全員がハイパフォーマーであってほしいので、パフォーマンスが高い人が活躍できる場所にしたい。
そのために、なるべく管理しない、規則を作らない方針でやっている。
管理されない分、自分自身で成果を出せるようにコントロールする必要がある。
「主体性を持って、自分で考えて動きたい人には合うと思いますが、決めて貰わないと動けない人にはとても辛い環境だと思います」(浅海氏)
このような組織であり、元々、その方がパフォーマンスが出るなら、出社しなくても良いというルールでのあったため、リモートワークへの移行はスムーズにできたそうだ。
「会社の制度設計がリモートワークに適していたとも言えます。会社に来て自席にいることが価値になっていたりすると、リモートワークへの移行は難しかったのではないでしょうか」

とはいえ、様々な理由で、出社した方が効率よく作業できる人もいる。
ブログの「コラビットの在宅勤務補助制度」という記事の中に
「オフィスで仕事がしたい社員は電動自転車を購入し通勤することも可能です。」という一文がある。
在宅勤務の補助といいつつ、オフィスで仕事をしたい人に対しての配慮があることからも、それぞれの事情に合わせた柔軟な対応が感じられる。

ちなみに、なぜ電動自転車なのか?の問いに対しては、
今回、浅海氏自身、電車に乗ることに抵抗があり、自転車通勤に切り替えたのだそう。「意外と良かったので、持ってない人は買えるようにした。やってみたら良かったから、みんなもやりなよーという感じです。」(浅海氏)
曽根氏が「社内制度は、みんながいいと思うものは採用し、ダメだったら廃止するのが理想です」とまとめてくれた。

コラビットについて興味を持たれた方は、コラビットのWebサイト( https://collab-it.net/ )も参照してほしい。

※本事例に記載の内容は取材日時点(2020年6月)のものであり、現在変更されている可能性があります。