ピーディーシー株式会社

デジタルサイネージを利用したデジタルマーケティングプラットフォーム 「OneGATE」

今回は、デジタルサイネージを利用したデジタルマーケティングプラットフォーム 「OneGATE」を提供している、ピーディーシー株式会社 取締役 村上 耕平氏、システム開発部 萩原 和巳氏、栄 俊介氏にお話を伺った。

ピーディーシー株式会社は、2001年にパナソニックの社内ベンチャー制度で立ち上がった会社である。

2000年代初め、まだ市場の小さかったデジタルサイネージに着目し、ビジネスとして立ち上げた。
さらに、ハードウェアとしてのデジタルサイネージだけでなく、デジタルサイネージを用いたソリューションを提供するようになった。
「我々はハードを販売するだけでなく、提供するテクノロジー・クリエイティブ・サービスを社会に運用実装していくことに注力している会社です」(村上氏)

映像ディスプレイやSTB(セットトップボックス)など、デジタルサイネージ向けのハードウェアの販売を主目的とするデジタルサイネージ事業者に対して、ピーディーシーでは、デジタルサイネージを使用したマーケティングソリューションを提供している。
「デジタルサイネージを独立したメディアとして運用するだけではなく、WEBやスマートフォンを通して行われるデジタルマーケティングのひとつのチャネルとしてデジタルサイネージを高度化し組み込み、
①”オンライン”での顧客体験と”オフライン(実空間)”での顧客体験を連動・融合させるデータドリブンなコンテンツ情報の配信
②デジタルサイネージの視聴状態や視聴者属性、行動データなどセンシングデータの取得
③配信データとセンシングデータの可視化・分析
をひとつのプラットフォームで一気通貫したサービスを提供できることがピーディーシーの特徴です。」(村上氏)
これらを実現するのが、OneGATEである。

提供しているマーケットは、大型商業施設や流通店舗から駅・空港などの公共交通機関、金融機関まで多岐に渡る。
デジタルサイネージは、これまでの案内誘導目的からマーケティングチャネルへと活用の範囲が広がっている。
ピーディーシーでは、外部サービスとの連携や顧客企業の保有するシステムやデータ資産との連携、視聴分析などを他社に先駆けて提供しているそうだ。

最近の事例では、ANAグループの全日空商事株式会社のTRAVEL MEDIAがある。
「国内初・空港のDOOHネットワークを利用した広告配信サービス「TRAVEL MEDIA™ AirPort Dynamic Ad Vision」にOneGATEが採用」(https://www.pdc-ds.com/news/20220310-3448

OneGATEのバックエンドにRuby on Railsを使用

OneGATEはマーケティングチャネルにも利用できるように、表示するデータをコントロールするためのシステムである。
OneGATEには、コンテンツ管理のための「OneGATE CMS」、クラウドから利用できるデジタルサイネージマネージメントツール「OneGATE SIGNAGE」、バックオフィス機能を提供する「OneGATE OFFICE」、カメラ、ビーコンなどIoTデバイスからデータ収集を行う「OneGATE SENSING」、収集したデータを管理、分析できる「OneGATE ANALYTICS」がある。
これらのバックエンドとしてRuby on Rails(以下Rails)が使われている。

OneGATEを開発するにあたり、はじめてRubyを採用したそうだ。
「これまで使ったことはなかったのですが、情報収集していくうちにAWSとの親和性が高い点に魅力を感じ選定しました。
コミュニティが盛んだったことも選定理由のひとつです」(萩原氏)

開発支援サービスを利用した内製できる体制づくり

当初、社内の数人で開発していたが、サービスの規模を大きくしたことを機にNaCl(株式会社ネットワーク応用通信研究所)のソフトウェア受託開発サービスを利用した。
社内でも開発できるようにRuby経験者も採用し、NaClの支援を受けながら内製できる体制を整えているそうだ。

「NaClさんの場合は弊社のプログラマーとGit等を使って開発しています。
コードレビューしていただいたり、こちらにもコーディングのノウハウ等スキルが蓄積される形で進めていただいています。
また、詳細設計の部分の仕様がうまく残るようにもしていただいています。
このあたりが、NaClさんと一緒にやってよかったところかなと思っています。」(萩原氏)

社内ツールをRubyで

OneGATEの開発で培った技術を活かして、Railsを使って社内ツールの制作をしている。

ひとつが保守チームが使う、デジタルサイネージの保守管理システム「PIMAN(pdc inteligent system)」
もうひとつが工数管理ツール「MINT」である。

PIMAN

PIMANはデジタルサイネージのSTBの保守インシデント管理ツールである。
障害のインシデント管理や、客先ごとに異なる設置状況等の障害発生時に必要な情報を管理している。
このようなシステムは、汎用のものより自社のサービスに特化して作成した方が使い勝手が良い。

MINT

こちらも自分たちの必要性に応じて作成したツールである。
タスク管理ツール「バックログ」と連携させて、タスクごとの工数を各プロジェクトに按分するための開発部工数管理ツールである。

このように、汎用ツールでは足らない部分を自分たちの用途に合わせて作成する際にもRubyやRailsを使用している。

「サーバーサイドはRubyがいちばん使いやすいっていうのがわかっているので、これからも積極的にRubyを使っていこうと思っています。」(萩原氏)

Rubyの採用効果

メタプログラミングを活用して保守しやすく

Rubyを使って良かった点については、メタプログラミングによる共通化をあげてくれた。
「Rubyは共通部分の部品の抽象化をするのに非常にきれいに書けます。
きれいに書けることにより、その後修正が入る時もわかりやすく書き直すことができます。
そのため、保守工数を削減できるのが、Rubyを採用した効果として一番大きかったと思ってます。」(栄氏)

教育に使えるコンテンツも充実している

他にも教育コンテンツが充実している点をあげてくれた。
「インターンシップ生にRubyを勉強してもらっているのですが、安価で優れた教材が多く、教育がしやすいです。
また、Ruby技術者認定試験が教育のマイルストーンとしてわかりやすいので活用しています。」(栄氏)
ピーディーシーの開発部門では、この資格の取得を評価制度にも組み込まれているそうだ。

Rubyを使う範囲を広げたい

今はサーバーサイドでRubyを使用しているが、今後はRubyを活用できる範囲を広げたいそうだ。

例えば、デジタルサイネージにはSTBが繋がっている。
このSTB上のアプリをmrubyで書けないか考えてみたりしているそうだ。
「今はサーバーサイドでしかRubyを使っていないので、エッジ側のSTBをRubyで書けたらいいなと思っていたりします。
現在他の言語に頼っているところも、共通化できると学習コストも下がるので、Rubyを使えるところの範囲を広げられるといいなと思ったりします。」(萩原氏)

カンファレンスにも積極的に参加したい

コロナ禍以前には、Ruby world conference(RWC)やRubyKaigiなどにも積極的に参加されていたそうだ。
Ruby world conferenceではスポンサーとしても参加していた。
会社としてもイベントへの参加は積極的に支援されているそうである。
ただ、コロナ禍と開発メンバーの増強が重なったという事情もあり、参加できていないメンバーも現地開催の開催を心待ちにしているそうだ。

実際参加してみた感想は以下のように語ってくれた。

「カンファレンスに参加者やスポンサーとして参加することによって、さまざまな情報を得られたり、いろんな人と会話できます。
まつもとさんがRubyは今後こういうふうにしていくよという話をしてくださり、エンジニアにとって興味深い話題が多く、そのような話を聞くとモチベーションがあがります。
そういうところはRubyで良かったなと思っています。」(萩原氏)

「萩原の方からもありましたが、Rubyの将来の方向性が知れるのが良いと思いました。
カンファレンスに参加されていたRubyを使っている人たちと話をして、私自身もアンテナを張って勉強しないといけないと感じるなど、モチベーション面でも刺激になりました。」(栄氏)

カンファレンス自体も刺激があり、良い経験になったそうであるが、「ノドグロ」を絶賛されていた。
今後現地開催が再開された際には是非ご賞味いただきたい。

Ruby world conferenceが開催されている松江市にANAで行くには米子空港の利用が一般的だ。
今の所、TRAVEL MEDIAの米子空港への導入は未定のようであるが、今後、Ruby world conferenceに参加するため空港に降り立った時、Railsが使われているデジタルサイネージが出迎えてくれる、そんな未来を心待ちにしている。

※本事例に記載の内容は取材日時点(2022年6月)のものであり、現在変更されている可能性があります。