Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize 2015
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Rubyprize2015受賞者インタビュー、2015 Prize Winner Interview
  • 西田 直樹/Naoki Nishida
  • Benoit Daloze
  • 高尾 宏治/Koji Takao

RubyPrize2014 受賞者 柴田博志、Hiroshi Shibata Interview

平成27年11月13日(金)収録

まつもとゆきひろRuby Prize実行委員長(以下「まつもと」) まずは、Ruby Prize受賞おめでとうございます。

西田直樹氏(以下「西田氏」) ありがとうございます。

まつもと このインタビューを読んだり聞いたりする人のために、西田さんが何をされたかについて簡単に説明してもらえませんか。

西田氏 はい、わかりました。僕がやったのはNyaplotという可視化のソフトウェアをつくったというのが主な仕事です。これまでRubyでつくられた可視化、フレームワークというものが、ほかの言語、例えばPythonにあるmatplotlibのような支配的なものが存在しなかったので、それに値するものをつくったのが主な仕事になります。

まつもと そういう感じでサイエンティフィックコンピューティングというか、リサーチコンピューティングみたいな領域で、Nyaplotもそうだし、Mikonもそうだし、色々やってくださってるんですけれども、そのきっかけというか、背景みたいなものがありますか?

僕の個人的に好きな言語がRuby

西田氏 はい、そうですね。思想というほどのものでもないですが、例えば、今そういう分野で支配的なのはPythonで、またJuliaも生まれてきていますけれども、例えばPythonがその科学計算分野で支配的である理由というのは実はあまりないと思っています。

例えば、Juliaというのは本当に科学技術計算用に設計された言語なのでそれは脇に置いておくとして、Pythonが強くなった理由というのは単に時の運みたいなものがあると思っていて、特に環境以外の優位性がない。

それをやるのであればRubyでも同じことができるだろうと。それの実験としてやろう。僕の個人的に好きな言語がRubyというのもあるので、それに値するものがつくれたらいいなという感じですね。

まつもと なるほど。今回、Ruby Prizeも受賞されましたけども、西田さんはほかにも、RubyアソシエーションのグラントやSciRubyプロジェクトのグラントをとられたり、そのほかにも受賞しておられたり、非常に色々と評価されていらっしゃいますよね。その辺についてはどう思っておられますか。

西田氏 すごくありがたいと思うんですけど。実際、日本の大学生って基本的に自由時間の半分くらいはアルバイトに費やされる…。

まつもと そういう人もたくさんいますよね。

西田氏 あとは奨学金とかもあるんですけど。

僕の場合は色々なところから支援を受けていて、自由時間の多くを開発に注ぎ込めていて「すごくありがたいな」と思っています。でも、その反面「ちょっと怖いな」というのが少しだけありますね(笑)。

まつもと 責任重大…みたいな感じですか(笑)。

西田氏 僕はそんなに評価に値する人間なのかっていうのは。