Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize 2015
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Rubyprize2015受賞者インタビュー、2015 Prize Winner Interview
  • 西田 直樹/Naoki Nishida
  • Benoit Daloze
  • 高尾 宏治/Koji Takao

RubyPrize2014 受賞者 柴田博志、Hiroshi Shibata Interview

平成27年11月12日(木)収録

まつもとゆきひろRuby Prize実行委員長(以下「まつもと」) Ruby Prize最終ノミネーション、おめでとうございます。残念ながら賞はとっておられないわけですけれども、たくさんある中のうちの同率2位ということなので、それはすばらしいことだと思います。

高尾宏治氏(以下「高尾氏」) ありがとうございます。

まつもと まずは高尾さんの言葉でプロジェクトの紹介をしていただけないでしょうか。

 

プログラミングを教える、学ぶ機会の創出

高尾氏 はい。私がここ最近取り組んでいるのが、小・中学生に向けてプログラミングを教える、学ぶ機会をつくるという取り組みでして、そのうちの一つとして、スモウルビーという、子供たちでもプログラミングが楽しめて、Rubyでプログラムがつくれるというツールをつくっています。
それを使って、主に小学生を対象としていますが、定期的にプログラミング教室を開催しています。
スモウルビーについては、島根県松江市の教育委員会にも認められ、中学校の技術・家庭科の義務教育課程の中で扱っていただいてまして、来年度以降、松江市内ですと5,000人強の中学生がいるんですが、その子たちが基本的には全員Rubyを学んで高校に行くという予定になっています。

まつもと 聞きたいことはいっぱいあるんですが、まずスモウルビーから行きましょうか。スモウルビーのいいところは、当然僕は知ってるわけだけど、このインタビューを見たり聞いたりする人のために紹介してください。

高尾氏 はい、わかりました。スモウルビーはビジュアルプログラミングエディターと言われるソフトウェアの一つになっています。
これは、Rubyのプログラムをつくるためのソフトなんですが、直接アルファベット、数字、記号を使ってRubyのプログラムをつくるわけではなくて、命令ブロックという視覚的なものを使って、そのブロックを組み合わせることでRubyのプログラムをつくるというものになっています。
ほかにも同じようなソフトですと、Scratch(スクラッチ)ですとか、日本でいうとMOONBlock(ムーンブロック)であるとか、非常に多くの方が同じようなソフトをつくっておられます。
なかでもスモウルビーとして特徴的なのは、Rubyのプログラム(ソースコード)を生成することができて、またRubyのプログラム(ソースコード)から命令ブロックに変換するという、相互に変換できるというところが特徴の一つになっています。

まつもと ほかのソフトは相互に変換、ということはあまり考えていない?

高尾氏 そうですね。相互というところはあまり考えてないところもあると思いますし、何よりRubyそのものが「命令ブロックの組み合わせで視覚的にプログラミングをする」というところととても相性がよくて、命令ブロックでの「ここからここまでループですよ」というところなどを、Rubyのソースコードにしたときの表現がほぼ1対1に対応しています。
Rubyの命令は省略形や記号が少なくて、初めて見た人でも、英語が少しわかれば理解できる、というRuby自体がそういう特徴を持っているので、スモウルビーがほかのビジュアルプログラミングエディターと比べると「相互に変換するときにわかりやすい」という特徴があると思っています。