Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize 2015
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Rubyprize2015受賞者インタビュー、2015 Prize Winner Interview
  • 西田 直樹/Naoki Nishida
  • Benoit Daloze
  • 高尾 宏治/Koji Takao

目的達成、表現することの手助け

まつもと 教育におけるビジュアルプログラミング、特にプログラミング教育の入門時における、スモウルビーのようなビジュアルプログラミングエディターの役割や価値というのは、例えば、小学生などに対して教えるときなど、どこにあるとお考えですか?

高尾氏 そうですね。小学生がプログラミングを学びたいというときに、彼ら彼女たちは、何かこれをしたいという目的を持ってプログラミングをしたいと思っていることが多いです。
そのときに、命令ブロック、見た目で、キーボードを操作せずに、マウスの操作だけでプログラミングができるというところはビジュアルプログラミングエディターというものが非常に効果的です。
彼らがやりたいことを「自分たちで表現方法を見つけて表現していける」という手助けができる、そういうところがビジュアルプログラミングエディターのすばらしいところだと思っています。
なおかつスモウルビーですと、実は命令ブロックをつなげているだけでRubyのシンタックスの本質的なところは理解できていて、ループの処理はRubyでいうブロックの中に書くというところも、視覚的な表現と完全にマッチしていて、自然とシンタックスが身につきます。
また、Rubyのソースコードを直接変更できるため、「もっとやりたい」という子が遠慮なくできる環境がそこにあるわけです。
「課題を与えて何かする」ということではなくて「自分で課題を見つける」。そして、それを実現するための方法を誰か大人が教えるのではなく、スモウルビーの画面にはAPIの一覧もあるわけですし、さらにそれをRubyに変換した結果も見ることができるわけですから、自分で方法を見つける。
何よりRubyですと日本語の書籍などもたくさんあって、それらでも学べるというところが大きなメリットですかね。

まつもと 以前、高尾さんがおっしゃった「小学校3年生や4年生だと、キーボードで英語を打つのがすごく大変で」というのを聞いて、「ああ、そういうのもあるよね」というふうには思いましたけどね。

高尾氏 そうですね。若者のキーボード離れが進んでいまして(笑)、スマートフォンの操作なども、キーボードを使わずにやっているということもあるので、非常にキーボード自体の入力が苦手というのもありますし、何よりも記号、ダブルクォーテーション、シングルクォーテーションやセミコロンなど、そういったものというのは私たちからすると慣れたものだと思っていたんですけれども、子供たちにとってはちょっと難しい、ということがありました。
ビジュアルプログラミングエディターだと、そういった入力を省くことができるので、初心者にとっては非常にメリットがあると思っています。