Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize 2016
Copyright©Ruby Association.
Rubyprize2016受賞者インタビュー、2016 Prize Winner Interview
  • 山口一生/Kazuki Yamaguchi
  • Chris Seaton
  • Yura sokolov

RubyPrize2016 受賞者 山口一生、Kazuki Yamaguchi Interview

平成28年11月3日(木)収録

まつもとゆきひろRuby Prize実行委員長(以下「まつもと」) 毎年受賞者の皆さんには何かまつもとがインタビューするという企画になってるんです。山口さんが今回受賞された活動について、私は知ってますけど、多分インタビューを見る人、読む人は知らないと思うので、簡単にご自分の言葉で説明していただけませんか。

山口一生氏(以下「山口氏」) はい。CRubyの標準ライブラリーにOpenSSLっていうものがありまして、そのOpenSSLっていうライブラリーはRubyの世界でTLSのために広く使われているわけなんですが、それはなかなかメンテナーがつかなかったと、ちょっと近寄りがたかったのか、よくわからないんですけど。それを数カ月前にメンテナーを引き受けまして、それ以来改善を続けていました。

まつもと そしたら、もらったと。

山口氏 そうです。

まつもと (受賞式のスピーチの時に)負債を返したって話もしてくださってありがとうございます。やっぱりソフトウェアは時間がたつと、何か環境が変わったり、コードが変わったり、APIが変わったりとかしてメンテしていかなくちゃいけないんだけど、古いコードはだんだんメンテするのが大変になってきて、そういうのを我々の業界では負債というふうに言うわけですけれども、今回、山口さん頑張って負債を返してくださったっていう形になりますね。最初の負債つくったのは私の身内になるのですが、私の負債を返してもらってありがとうって言ってました、本当に。

山口氏 ありがとうございます。

まつもと で、そうやってOpenSSLの改善を今年(2016年)に入ってから始めてくださったっていうことで、セキュリティーは本当に重要な問題なのに放置されてるのは問題だっていうふうに我々の中でも大分思っていたところに助けてくださったので、本当にありがたいっていうのが今回の受賞のきっかけっていうか、動機なんです。どうしてやろうと思ったんですか。

山口氏 特にセキュリティーを改善したかったとかそういうわけじゃなくて、自分がOpenSSLライブラリーを使おうと思ったらバグで動かないと、そして直すパッチを投げていたら、そしたらメンテナーをやれと。

まつもと どう思いました、それ。

山口氏 僕で大丈夫なのみたいなふうには思いましたが、自分のパッチを入れてくれる人がいないので、まあ自分でやってしまえと。

まつもと なるほど。そうやって、Rubyのセキュリティー周りの改善に対して非常に大きな貢献をしてくださったんですけども、普段はどんな活動をしておられるんですか。RubyとかコミッターとかOpenSSLとかの以外の部分を、ふだんの生活はどんな感じですか、コンピューターに関係あることとか、ないこととか。

山口氏 大学生なので、大学に通う日々を送っています。特にRubyとかに関係あることはやっていないのですが、自分の趣味といいますか、Rubyは何ていうか、便利なシェルスクリプトとして昔から利用していて、その中でRubyなどのOSSをふだんから利用しているわけで、バグを踏んだらパッチを投げるっていう活動をいろんなOSSでやっています。