Rubyコミュニティの「新人賞」Ruby Prize

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RubyPrize2014 受賞者インタビュー、2014 Prize Winner Interview
  • 柴田 博志/Hiroshi Shibata
  • Pat Shaughnessy
  • 松本 亮介/Ryosuke Matsumoto

RubyPrize2014 受賞者 柴田博志、Hiroshi Shibata Interview

平成26年11月14日(金) 収録

まつもとゆきひろRuby Prize実行委員長(以下「まつもと」) まずは、Ruby Prize受賞おめでとうございます。

柴田博志氏(以下「柴田氏」) ありがとうございます。

まつもと 2年連続のノミネートということで、今年は見事Ruby Prizeを受賞されました。まずはお気持ちをお聞かせください。
※柴田氏は、Ruby Prize 2013でも最終ノミネート者として最終選考に残られた。その際のインタビューはこちら

柴田氏 そうですね。本当にありがたいというか、なかなかこれくらいの年齢になると人様から褒めてもらうということが減ってきてですね。結構、小学生ぐらいの時の方が色々何とか金賞とか何とか賞みたいな形で褒められることが多かったなぁと思う中で、久しぶりに賞をもらったなと思っています(笑)

まつもと 賞金つきですしね(笑)

柴田氏 はい。そういう意味では、やってきたことを褒めていただくというか、表彰していただくというのはありがたい、ありがとうございますという気持ちですね。

モチベーションは、「サポートの楽しさ」「技術好奇心・探究好奇心」

まつもと 前回もそうなのですけど、今回もRuby開発コミュニティーのテクニカルとは限らない部分も含めて、下回りをずっとやってくださったこと、本当に私も開発者として色々面倒くさいこと、放置していたことなど、柴田さんにやってもらったことがたくさんあるので、本当に感謝しているのですけども、モチベーションはどのようにされていますか。

柴田氏 モチベーションとしては、僕自身はなかなかCの深い部分であるとか、例えばウィンドウズのプラットホフォームの不具合修正とかは正直手出しができないので。

まつもと まぁ私もできませんけど(笑)

柴田氏 例えば昨日の講演で紹介したような、例えばMac OS Ⅹの環境みたいなものとかは顕著な例で、調べる人が調べるための環境があればすぐ解決できるような問題なのですが、環境がないが故に放置されていたり、修正するスピードが遅かったりすることが沢山あって、そういった環境をちょっと誰かが手を動かして準備するとすぐに解決できて、何か作業した分に対する改善の度合いみたいなものが大きい、というものが多いと感じています。

まつもと 費用対効果という感じ?

柴田氏 そうですね、費用対効果ですね。で、そこの部分をサポートするというか、そこの効果の大きい部分を世の中にバーンと出せるような状況を用意する。そこが楽しいです。また、単純におもしろいからというのもありますね。
あとは個人的に色々な環境に触って、それぞれの環境の癖であるとかお作法を知って、それぞれの違いとかを勉強するというのが、技術好奇心、探求好奇心をそそられます。
Windowsではこういうことで死ぬのだなとか、同じLinuxの中でもRed Hat系とDebian系では違っていて、何かの問題で落ちているということがよくあります。
そのような時に田中哲さんなどが、解決策をすぐ見つけていただいて、Debian系ではこうこうこういうことになっていてこのテストが落ちるみたいな感じで結構教えてくれます。
環境を用意すると誰かが調べてくれてその知見を教えてくれるという、自分も時間を費やして大変ですが、それを上回る勉強的メリットとRuby本体が良くなるというメリットが2つあることもあって、つらいなという感じにはならないで、割とおもしろいなという感じで続けられています。